京都市南区東九条室町47番地3
JR京都駅八条口より徒歩2分
精索静脈瘤がある方は、手術療法により精液所見の改善が期待できます。
子供ができない原因のうち、もっとも頻度が高いのが精索静脈瘤です。ひとくちに精索静脈瘤と言っても、その大きさ、程度は個々によって様々であり、グレード1(軽度)からグレード3(重症)まで分類されます。そして、重症の静脈瘤であればある程、手術後に精液の状態が改善しやすいことが分かっています。
我々の過去のデータを解析してみても、重症の静脈瘤(グレード3)で80%、中等度の静脈瘤(グレード2)で50%の患者さんが、精液の状態の改善を得ています。
全国的に見て、この手術は入院にて行っている施設がほとんどのようですが、我々は昔から日帰り手術で行っています。手術時間は1時間程度、休憩時間を含めても3時間ぐらいです。治療中や治療後の痛みもほとんどなく、患者さんにとっては比較的楽で手軽な治療と言えます。(私はよく「虫歯の治療を受けるよりも楽な感じですよ」とご説明しています)
必ずしも精液所見に改善が見られるとは限らないことを理由に、手術を受けることに躊躇される方がおられますが、比較的手軽な治療で80%もの確率で精液の状態が改善するのであれば、もっと積極的に手術を考慮いただいてもいいのではないかと思っています。
逆に、軽度の静脈瘤(グレード1以下)の場合では精液所見がほとんど改善しないことが判明していますので、軽度の静脈瘤の場合は手術をお勧めしていません。中等度の精索静脈瘤(グレード2)の場合や、血液検査で他の異常が見られるような場合では、精索静脈瘤の治療をするかどうか、慎重に判断する必要があります。
院長の吉川、理事長の市岡、京大病院のベテラン医師が手術を担当します。これまで毎週、複数例の手術を行っており、かなり熟練した手術と言えます。
局所麻酔の注射をしたのち、下腹部に約2.5cmの切開を入れます。そこから血管の束(精索)を体表近くに引き上げてきて、手術用の顕微鏡をセッティングします。局所麻酔法には少々コツがあり、適切な場所にタイミングよく使用することにより、全く痛みを感じることなく治療が終わります。
顕微鏡では20-30倍の拡大視野になりますので、静脈と動脈、リンパ管などを区別することができます。大事な動脈、リンパ管などは温存し、静脈だけを細かく選り分けて処理します。この過程が非常に大切ですので、時間をかけてゆっくり丁寧に行うようにしています。
縫合は体内で溶ける糸を使用し、結び目が傷口の中に入り込むようにしますので、抜糸は必要ありません。
脳神経外科など、繊細な手術のための専用顕微鏡です。
医師二人で向かい合って手術ができるように、対面式となっています。
非常に高価な機械なのですが、現在では micro-TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)、精索静脈瘤手術(顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術)を行うための標準設備と考えられています。
念のため、手術の翌日には大事な用事がないような日を選ばれることをお勧めしていますが、お仕事をお休みする必要は全くありません。一週間はスポーツをお控えください。入浴は、一週間だけシャワーにしていただきます。一週間後に受診していただき、傷口が完全に治っていることを確認した後に、お風呂に浸かっていただいています。
手術後の万が一に備えて、院長に直通の電話番号をお渡ししています。しかしながら、実際にお電話をいただいたことはほとんどありません。